前座
オタクなので目が悪い👎
ので、眼鏡を更新しに近所のショッピングモールまで、愛車の青ロリ号(仮)動かしついでにメガネの更新に来た。ついでに待ち時間で映画でも見たろと。
青ロリ号(仮)
メガネの完成は30分後とか言われ、(全然短いし映画見る必要ないかな)とか思っていると、映画半券で5%引きとか言われてしまい、反射的に会計時に半券持っていくとか言ってしまう。
逆に消費金額が増えるという矛盾には気づいていない。
そこで適当に時間が合った映画がこちら。
『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』公式サイト
『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』本編特別映像【大ヒット上映中】
映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ4人の勇者
すでに上映が始まっていたので、急いで発券機でチケットを買い、眠そうにしている係員さんに嫌そうな顔で半券切ってもらって劇場に入る。
誰もいなかった。
「おいおい天下のしんちゃんだぞ、売れてないのかこの映画」とか変な笑いをニチャァ…しつつ、席に座るとそこは静寂。静寂な空間は、人間を冷静にさせる。
連休明けの平日真っ昼間から、客のいない映画館で一人クレヨンしんちゃんの映画を見る20歳。
めちゃくちゃ恥ずかしい存在じゃないか、僕。
上映開始後も、なんか数十分おきにスタッフが入ってきては「うわ、客おる」みたいな迷惑顔(見えない)して出て行くしクッソ恥ずかしい。
出る時なんて、通路でスタッフ待ち構えてた。
ごめんね。余計な仕事増やして。
今年のクレヨンしんちゃんの映画がエグかった話
ここから本題です。
そんな恥ずかしい思いをしてまで見てきたクレヨンしんちゃんの今年の映画、「ラクガキングダムとほぼ4人の勇者」ですが、タイトルにもある通りに、子供向けとは思えない精神的にエグい映画でした。
クレヨンしんちゃんの映画は、親子で見に来ることを考え、大人でも楽しめる映画が多いことは、よく知られていると思います。
幼心の僕の印象に残っているのは、「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!大人帝国の逆襲」です。
改元のタイミングで、Twitterで話題になっていたので、久々に見ましたが、この年になっても本当に面白い映画でした。ヴィラン側の哀愁が子供向けアニメのそれではない。マサオくんの「ぶっ飛ばすぜベイベー!」も相変わらず笑える。
今作、ラクガキングダムも、この経験をもとに「子供でない人でも楽しめる映画かな」と期待して鑑賞に挑みましたが、ところがどっこい
「老若男女オタク非オタク全日本人が楽しめる映画か???」って感じでした。以下、詳細な感想となりますが、ネタバレオンパレードなので、すでに鑑賞済みの方もしくは、あらゆるサブカルチャーをつまみ食いあるいは暴飲暴食してるのでネタバレなんて気にしねえぜって方のみお進みください。あ、最後のステマだけ読んでいけ。
今作の敵(?)勢力 ラクガキングダムの悲しさ
今作における、(一応の)敵勢力であるラクガキングダム。地上で描かれた自由な落書きから放出されるラクガキエネルギーをパワーとして、ラピュタみたいに浮かぶ空の王国です。
しかし、地上の町が整備されてきたり、タブレットなどの電子化の影響で落書きが減り、今や滅亡の危機に瀕しています。
そこでラクガキングダムの防衛大臣(今作のイケメン枠)が、議会の決議を得て、ラクガキングダムの王(キング)を軟禁し、人間に強制的に落書きさせてエネルギーを得るためのウキウキカキカキ大作戦を決行。地上へ侵略する…というのが本作の導入。
そしてまあなんやかんやあって、地上で最も自由な線が引けるのがしんのすけだったから、お姫様が魔法のクレヨンを宮廷画家に託してしんのすけに届けさせてしんのすけの力で侵略を辞めさせて世界を救え~的なストーリーは公式サイトのほうが分かりやすいので投げます。
ラクガキングダム、何が悲しいかってもう上述の設定からして悲しい。
存在し続けるために必要なエネルギー源がラクガキ。しかも自由な線である必要があり、デジタルは不可。
つまるところほぼ滅亡が確定しているしている世界って時点でエグい。
映画のメタとして、ラクガキングダムが浮いてるのは日本、それもカスカベの上空であるのは仕方ないとして、その上で日本からラクガキが消えている事実が滅亡を物語る。
もちろんそれを良しとしないラクガキングダムの勢力が、王に対してクーデターして地上へごーするのは先述の通り。
そしてラクガキエネルギー強制搾取のための地上侵攻が始まるのですが、これが制作側の皮肉たっぷり。
ラクガキを描きましょう!とあらゆる人間に無差別に聞き回り、二つ返事しなかった大人は壁に張り付ける。
ラクガキに最も適している子供たちだけを一カ所に集め、食事も休憩も睡眠もなしに四六時中ラクガキを描かせる。
しかも自由な線である必要があるので、なにかを模写したりするとえらいどつかれる。
「なんでも好きなモノを描いていいんだよ~!」と優しい声で語りかけるくせに、好きなモノを好きなときに描かせてくれない壮絶な矛盾。
えっっっっっぐ。
何がえぐいかって、たぶんこんな感じの経験を誰もが幼少期にしていること。
想像力育成とかなんとかいって、図工の時間に好きな絵を描かせたりするけど、何かのアニメだったりすれば「こういうのじゃないくてね」と言われたり、時間内に描けなかったら補習があったり。
今作のストーリー考えた人、絶対今の教育大嫌いだろ
そして終盤、そんなやり方でラクガキエネルギーを集めようとするので、やはりというか生産効率はアホみたいに落ちてきて、とうとうラクガキングダムも物理的に落ち始めます。
これエグくないすか(常套句)?
強制搾取で一時的に上げたエネルギーの生産量が、生産効率が下がったことによって減っただけなんですよ。
おそらく、地上侵攻以前よりはラクガキエネルギーの収入はまだ多いはずなんです。
つまり、地上侵攻してもしなくても映画開始より数日以内にラクガキングダムは滅亡し地上落下が確定している
ということ。
物語終盤、とうとうラクガキエネルギーが底をつき、ラクガキングダムがカスカベに落下してきて(一気に吹っ飛ぶカスカベの想像図つき)、カスカベの人々が逃げ出すのですが、これ地上進行が無ければ確実に死んでるんですよね...。
こうなってくると、今作の(一応の)ラスボスである防衛大臣さん、一概に悪い奴ではないことになります。実際一度も戦ってないし、エンディングで許されてるし。というかしんちゃんの映画、敵にも正義があるやつばっかりなんですけども。
地上の悪しき文化に依存しなければ生きていけないユートピア。しかも地上がキレイになる程、両世界が災厄に近くなる。やっっっっばいほど悲しい敵でした。
タイトルとゲストキャラクターの悲しみ
今回の映画のやべーとこー!!!!!!!!!!1
ゲストキャラクターがレギュラーより印象強すぎる
冷静に考えてみてくださいよ(書いてる本人が冷静じゃない)
クレヨンしんちゃんとか、もう国民的アニメなわけであって、レギュラーキャラクターの特徴なんか何年も見てない人間でも答えられちゃうわけですよ。
なのに今回はしんのすけ以外のレギュラーキャラクターが、特に中盤まttttったくと言っていいほど活躍がない!
終始壁に張り付いてるか絵を描かされている!
ひとりぼっちの劇場で「これ事件解決までこのままなのでは...?」と不安になるレベルでした。
野原家(特にみさえ)は相変わらずかっこいい親を序盤終盤に見せてくれてはいますが、カスカベ防衛隊の見せ場も最後の方までありませんでしたね。
(でもしんちゃんの映画って、登場キャラクターを絞って深く掘り下げるやつ、たまにあるよね。たぶん。ロボとーちゃんとか?)
じゃその分、誰が目立ってるかと言うと、タイトルにもある通りほぼ4人の勇者。
いや~~~~~~
ほぼ4人って言い得て妙すぎか~~~~~????
引用画像にある通り、ほぼ4人の勇者は序盤はあのパーティーとなります。
この何とも言えない魑魅魍魎なメンツですが、しんのすけがラクガキングダムのお宝「魔法のクレヨン」で実体化させたもの。
紆余曲折あって富士樹海まで飛ばされてしまったしんのすけが、カスカベへの期間を果たすべく呼び出した初期メンバーです。
初期メンバーの「ほぼ」ポイントはもう見たまんま、人外しかいないから。
中盤以降の意味の変化がえぐい。
皆さんはぶりぶりざえもんをご存知でしょうか。
しんのすけの妄想上の救いのヒーロー。正直映画以外であんまり見ないので、今調べながら書いてる。
救いのヒーローと名乗りつつも、Wikipediaいわく
しんのすけとよく似ており、あまり周りの事を気にしない所や、下品で女好き、ナルシストで自分の顔を「美しい」と思っている点が共通している[3]。一方、がめつく欲張りな所があり、自分を第一に行動する。また、普段は尊大な態度をとって他人を見下すことが多いが、その割に小心者でもある。
自らを「救いのヒーロー」と呼ぶが、事実上の裏切り者で「私は常に強い者の味方だ」と言って軽々しく敵に寝返ったり、敵前逃亡したりすることが多い。その反面、しんのすけ側が勝てばすぐに戻ってきて、何もしていないにも関わらず多額の救い料を請求してくる等、ヒーローらしからぬ振る舞いが目立つ。このような行動の結果、味方側から叩きのめされる事も少なくなく、しんのすけにすら呆れられてしまう。
とまあ、わりと小心者なキャラクター。それは今作も変わりがなく、中盤以降、オリジナルキャラクターであるユウマの登場以降(カスカベ到着以降)、勇者とは呼べないぐらいにはアレなキャラクターとなっていきます。
そう、ユウマの登場以降なんですよ。
ユウマ君は、カスカベに行ったきり戻らない母親を探しに行くべくしんのすけ一行に加わる、大人より人間が出来ている本作イチの良心キャラクター。
ほぼ4人の勇者 は人数が守れている、というね!やっばいね!
終盤にいくにつれて、雨にぬれると消えるというガッツリヤバい設定の魔法のクレヨン製のキャラクターが少しづつ脱落していったり、張り付けにされていたり絵を描かされていたレギュラーが復帰したりして少しずつ別のお話になっていくのですが、このほぼ4の数字、まだ残ってると思うんですよ。たぶん深読みですけど。
落下してくるラクガキングダム。しかししんのすけ一行は魔法のクレヨンを住民の救助にほぼ使い果たしてしまい、対抗策をすべて失う。
そこに罵声を浴びせるはしんのすけに助けられたカスカベの大人。どんだけ大人嫌いなんだよ制作陣。
修羅場慣れしているカスカベ防衛隊や勇者しんのすけ一行、わりと影の薄いラクガキングダムのお姫様とよろしくやっている勇者が「ラクガキをすれば落下は阻止できる」と奮闘するも、永遠にラクガキを描かされた子供と大人たちは「んなもん知るか」と逃げの一択。
どういう過程を経て最終的に協力したのかは省いて、もう間もなく壊滅するカスカベとラクガキングダムを救うべく、逃げたい衝動を抑え、カスカベの彼らはふたたびラクガキをしに戻ります。
このほぼ4つの視点の人々が、勇気を振り絞って2つの世界を救った!!!!!
すっげえ!!!!
この映画のサブタイトル、「世界を救え、クレヨンで」なんですけど
世界(人間界)って、カスカベ周辺の超ローカルな事件としか描かれてないんですよ。(ユウマくんがインターネットでカスカベの情報を集めてるシーンとか、完全にゴジラ災害みたいな雰囲気だったので、世界の危機感はない。)
でもこの「世界」って、天界のラクガキングダムと、カスカベの人々にとってのカスカベという舞台、二つの意味なんですよ!!!!!!
うわ~~~~~。エッモ。
そもそものテーマのやばさ
語彙力どうにかしたいよね。
結局、この映画の何が一番インパクトあるかって、
子供向け映画でラクガキを推奨していく内容
であるところだと思うんす。
大人の都合で押し付けられる創造の自由に疑問を持て! ってメッセージが、深読みなんてせずに直球で投げ込まれてくる。
大人であればあるほど耳が痛くなる補助武装つき。
こんなド直球な皮肉を面白くクレヨンしんちゃんの枠に収めてやろうとか考えた制作陣、マジで天才集団なんじゃねえかって震えましたとさ。
みろ。
ステマ
クレヨンしんちゃんのみならず、子供向けコンテンツというものは、大人でも楽しめるレベルのクオリティを追求しているものが多いです。
代表と言えるのは、やはりー仮面ライダーやウルトラマンというヒーロー特撮二大巨頭でしょう。
そこでこれらの僕の推しを勝手に語ります。
これに関してはクオリティを追求しすぎた結果、マジで子供向けでは無くなっているヤツ。1万人ぐらい人が死ぬ。
それでも主人公である五代雄介は、完全に子供のヒーローとして最高な人物で惹かれる惹かれる。
これは記事執筆時点で放映中の最新作。そして最近ノリにノッている仮面ライダーシリーズよりアツい(偏見)ヤツ。
近年のウルトラマンシリーズは、ニュージェネシリーズと言って作品間のつながりが強いのがやや難点ですが、ウルトラシリーズの魅力をこれでもかと詰め込んで、毎話毎話笑って見られて、テーマも深く重い、まさに「特撮オタクの求めたウルトラマン」って感じです。ライダーに胃もたれした人はマジでお勧め。
これはちょっと古いし、ドマイナーもいいところだし、円谷が本格的に傾いてくる時期の作品なので、全体的に製作側の暗めなムードがにじみ出てるちょっとアレな作品(どれ?)
しかし作家主義を掲げているだけ合って、毎話毎話のストーリーが一本の短編小説かってぐらい文学的。しかもだいたい1話完結。最高。
好きなお話だけをつまみ食いできる稀有な作品。
お勧めは15話の「第三番惑星の奇跡」と16話の「わたしはだあれ?」この2つを見る上で大事なのは、第三番惑星の奇跡の次週の回がわたしはだあれ?であること。温度差で死ね(直球)。