隙あらば自分語り

備忘録で雑記です。思想のゴミ箱です。自己顕示欲性廃棄物最終埋め立て処分場です。

高専生が地方国立大学に編入して1年がたった

はやいもので、もう1年がたってしまいました。

編入関係の記事がアクセスの9割を占める当ブログです。

f:id:hokuro510:20220218174414p:plain
需要丸わかりの図

弊大学の名前をタイトルで名指ししている編入体験談がぶっちぎりのアクセス数トップで、定期的に編入に関する質問が来ます。外部のサイトに連携してるからってのもあるんだろうけど

さて、そんな編入関係に謎の需要があるらしい本ブログで、編入したての5月ぐらいに書いた↓の記事
hokuro510.hatenablog.com

にて、「大学生活諸々を語りたいときに駄弁るブログとしてやっていきたい」とも言っていたので、編入希望の高専生の皆様が特に気にしておられるであろう「編入生の現実」について今回はつらつら書いていこうと思います。

編入生と一般生の頭の違い

hokuro510.hatenablog.com
前期が終わった時に書いた↑の記事でだいたい速報的なことは述べてますが、1年大学生やった現在でも大枠での感想は変わりません。今回はもうちょっと端的に詳しく書いていこうかなと。

改めて上の記事では

結論から申し上げますと全くの別人種です。

(中略)

そんな普通に立派な彼らが僕ら高専出所勢と特に違うところは、計算力が段違いすぎる、ということ。とにかく頭の回転が速くて、高校時代の学習の引き出しが多く、脳内を検索して利用する術に非常に長けているということ。

次点で僕ら高専生と違うのは、理論的な思考の積み重ねが比較的弱いという点です。

と言いましたが、今となってもだいたい同じです。むしろ後期を通じてほぼ確信に変わっています。マジで煽りでもなんでもなくて純粋に知りたいんですけど、一般生(編入生じゃない普通に高校から大学に入った皆様)さん達はどこまで電気の基礎理解できてるんですかね…?

この前、とある授業で変位電流(∂D/∂t)の式を提示されて「何の式か」と先生に聞かれた学生が「ろーてーしょんでぃー…?」とか言ってたのは流石にビックリした

とまあ前回の記事でも同級生のことをさんざんに言ってますが、自分GPA2.5でクラス順位半分以下ですからね。どんだけ授業で頓珍漢なこと言っても評価が高い人の方がえらいに決まってるんですよ。

今バイトで塾講師やっているんですが、やっぱり中学生や高1の時期から大学受験意識しているような高校生の皆様は、頭の回転が早いですね。機転も利くので、知っていることを何でも使おうとします。

つくづく根本的なところで「高専生」と「高校生」は違う教育を受けているということが実感できるので、それぞれの本当の能力を知るにはやっぱり研究始めない事には分からないのかもしれません。でもそうなると高専生とか高校生とか関係なしに個々人の能力に依存してくるので、もうわかんないね。

地方国立大と国立高専の違い

学校によるがどこも基本クソ

高専はクソ」言うてる元気な高専生の皆様ご安心ください。国立大学もクソです。

そもそも、国立高専も地方国立大学も組織としてはほぼ同じようなもんなんだからだいたい一緒だよ。マジでシステムや学生の雰囲気や諸々ひっくるめてなんの違いもない。違和感なさ過ぎて編入したという実感が湧かない。

むしろ組織としての規模が小さい各高専のほうが内部意見のフィードバックが早い分、確実に高専よりデカい地方国立大学よりかはマシにすら思える。(流石に旧帝大異世界過ぎてわかんないです。)

当たり前ですが、僕は某N高専から卒業しているので、他の高専の話は友人伝手でしか知りません。でも話聞いてる限りちゃんとしてる高専は結構ありますよ。(ガチでヤバい学校や高専機構自体がヤバいのはノータッチにします)

大学はやっぱり組織がでかい故の問題は結構実感します。具体的な言及は避けますが、ウチの大学は医学部を筆頭として不祥事が毎月発生していた時期が最近まであって「M大学月刊不祥事」とか呼んでましたね。



www.nikkei.com

具体的な

www.nikkei.com

言及は

www.asahi.com

避けますが



…とまあ散々disりましたが、やっぱり「高専にはなくて大学にしか無いもの」は星の数ほどあります。高専の一番ダメなところはあまりにも閉鎖環境すぎることで、それがないだけ大学は圧倒的なアドを持ちます。

皆々様におかれましては外の世界に出た時の広さに是非とも絶望していただきたい所存なので、楽しみにしておいてください。

進路は学校の誘導

これに関しては完全に僕の勘違いというかリサーチ不足なんですけど、たぶんある程度の高専生は同じ勘違いをしている可能性があるので絶対に言及したかった。

まず地方国立大学はそもそもとして「その地域への還元を前提とした人員サプライヤーの伝統が根強い(人の言葉を借りました。ありがとう競馬オタク伝道師くん)

もっと平たく言えば、「めちゃくちゃ地元企業へ就職させたがる」。

これは一例なんですけど

~講演にて~

大企業出身の東大教授「大企業行ってドクター取りましょう」
弊地方国立大教授「三重に就職させなきゃウチの実績ならないだろ!」
東大教授「頭固い(意訳)」
弊大「これで授業終わります」

みたいなことを講演の質疑応答時間でやる。マジでやめてくれみっともないから。

別に地域活性化のために地元企業の斡旋をするとか、地域の企業と提携するのは全然悪いことじゃないと思います。「地方創生」は出身高専でもやってたし今のトレンドですからね。

ただ学生に魅力を上手に伝えればいいだけなのに、地元企業以外の選択肢を狭めてくるのが極悪なんですよね。インターンシップとか、工場見学とか企業説明会とか、地元企業以外見たことない。

それだけならまだいいんですけど、大学が喧伝している就職実績には堂々と全国規模の大企業をリストアップしているところが最悪。どっちなんだよ。ネームバリューにつられた高校生を地元企業へ追い込む追い込み漁かよ。

ちなみに研究室単位では必ずしも地元企業の縛りは無いので、就活する上で頼れるのは大学じゃなくて研究室でしょうね。やっぱり大組織は一枚岩ではないなぁ。


…そういう意味では国立高専が逆に異常です。地元はもちろんのこと、普通に全国の大企業から就職案内が来るし、実際に就職できますからね。たかだか20歳が。しかも脳みその出来がよければ選べるんですよ。大企業を。やっぱり高専の強みは編入よりも就職にあります。

根本的に編入生は立場が弱い

めちゃくちゃ弱いです。どれぐらい弱いかっていうと、チャンミや競技場における先行ウマ娘並に弱いです。

まず友達ができません。僕のコミュ力のせいじゃないです。大学が悪いんです。ほんとなんです。

だって同じ学部コースで友達作ろうと思ったら何します?普通は実験とかグループワークとか授業を通じますよね。

でも編入生は実験免除なんですよ。オンラインと混合にしているせいで対面授業に誰一人来ないんですよ。無理だろ。

しかも話を聞くところによれば、実験すら必ず対面出席しなくてもいい学科もあるらしく、本当に誰も来ないんだそうな。マジかよ。

編入生と仲良くなればいいんでしょうが、生憎自分の取っている授業と他の編入生はほぼ被っておらずほぼ孤独。というかグループワークの授業とってないのも、専門が不人気科目だからです。それはまあ自業自得なんですけど…。

ちなみに学部学科にこだわらなければ、サークルに入るとかバイトを始めるとかで上下関係や友達を作ることはできます。でないと本当に孤独。そこで運よく学部学科が同じ知り合いを作れるかみたいな運ゲーです。


あとはGPAが厳しくなりがち。

学校によって評定方法とか細かい差が出るので一概に言えませんが、基本的にクソ低くなるかクソ高くなるかの2択です。流石にウチの大学では配慮されてましたが、院試の条件とかでGPAが必要になってくるともう悲惨です。

もちろん楽単とかあるので、情報と器用さがあればGPAデスマーチなんてしなくて済むのですが、編入生は入学前のオリエンテーションで2~3日丸々かけて単位認定作業と履修登録をするので、分かるわけがありません。ということで一般生と同じGPAを出すだけでも苦労かかると思います。

総評

おそらくネット上や、高専の先生や先輩・OBとのやり取りでいろんなことを聞いているかとは思います。

自分が聞いた範囲だと「編入生は優秀」とか、「ある程度優秀でないと編入を選べないので編入生が優秀な訳ではなく優秀な奴は優秀」とか

まあ進学先のレベルとか在学中の高専のレベルとか自分のレベルとかいろいろな要因があって一意には言えないのは今更なんですが、それはそれとして「高専生は大学生と比べてどれほど優秀なのか問題」について、大抵の場合に言えるだろう有意な結論は出したい。

そのうえで個人的な現段階の結論としては「一般大学生よりも優秀になれるポテンシャルはあるが、自分の環境を上手に活かせる能力のある人は優秀となり得る」です。


そもそもの話として、国立高専全体で卒業生の編入・専攻科比率が上がっていることが問題なんですよね。5年~7年間居座るせいで学生の入れ替えがノロマな高専だと絶対情報更新も遅いし。

僕の高専時代の友達には京大や筑波大に編入するような人間もいれば、専攻科に進学したけど、今後旧帝大で研究することがほぼ確定しているような人たちもいるし、有名な方だと筑波大に編入して更に京大に編入したような人だっているし。優秀な人は底なしに優秀。

なので、僕が1年間大学生をやったうえで出す結論として、編入を検討している現役高専生は高専よりしんどくなって、自学自習の時間が増えて、その状態を今後4年間続けてもいい」と思える人、5年生であれば「高専よりレベルの上がった研究を3年間続けてもいい」と思える人は編入してもよいと思います。やっぱり何かを学ぶこととか追い求めることが多少なりとも好きでないと大学編入は絶対しんどいです。幸い高専は就職に関しては地方国立大学に勝るレベルで強いので、就職も良いと思います。


今回のお話は結構頭うんうんひねらせて書いたので、細かい表現は今後思いつき次第修正するかもしれませんが、22年2月の現段階で僕が感じたことはなるべくそのまま残すつもりです。このブログが高専生の皆様の手助けになれば嬉しい限りです。